行政書士法人 麻田事務所

         【 持 続 化 給 付 金 】

 

 

持続化給付金は、中小法人や個人事業者向けの給付金です。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うインバウンドの急減や営業自粛等で、特に大きな影響を受けている中堅企業、中小企業その他の法人、フリーランスなどの個人事業主が対象になっています。事業の継続を支え再起の糧とするため、事業全般に広く使える給付金です。

 

一 基本的な申請方法

 

Ⅰ 申請のガイダンスは2種類

 

持続化給付金は、個人事業者向けと法人向けで2つのガイダンス(申請要領)が用意されています。個人事業主と法人で給付額や必要書類が変わってきます。

 

1 持続化給付金ってなに?

持続化給付金は、感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、再起の糧とするために事業全般に広く使える給付金です。

 

2 申請はインターネットがメイン

持続化給付金の申請はインターネットを使います。インターネット環境がない方のために窓口が用意されていますが、事前予約が必要です。

 

3 申請の手順

(1)持続化給付金ホームページ(https://jizokuka-kyuhu.jp)にアクセスします。

(2)申請ボタンを押してメールアドレスなどを入力します。ここではまだ仮登録です。入力したメールアドレス宛にメールが届きますので、普段使っているメールアドレスを記入することをおすすめします。

(3)入力したメールアドレス宛にメールが届いていることを確認して本登録をします。

(4)IDとパスワードを入力するとマイページが作成されます。マイページでは、屋号・社名や連絡先などの基本情報、売上額、口座情報を入力します。

(5)必要書類を添付します。必要書類は次のとおりです。

・通帳の写し(表紙、表紙をめくった1~2ページ目)

・2019年分の確定申告書類の控え(写真)

・売上減少になった月の売上台帳などの写し(写真)

・(個人事業主)身分証明証(写真)

(6)必要事項を入力して必要書類を添付したら申請ボタンを押します。

(7)不備がなければ約2週間で口座へ入金、給付通知書の受け取り

以上で、持続化給付金の申請は終了です。

 

 

Ⅱ 個人事業主の申請

 

個人事業主が持続化給付金を申請する場合について書きます。

 

1 前年同月比で月間売上高50%以下

月間売上高が前年同月と比べて50%以下になっていなければいけません。2020年1~12月の間で最も売り上げが落ちた月を選択することができます。50%以下であれば10%でも50%でも支給対象になります。

 

2 給付額は最大100万円

“最大”ですので、これよりも少ない方もいます。計算方法は次のとおりです。

 

   2019年の年間事業収入 - 対象月の月間事業収入 × 12

 

インターネットで申請する場合は申請書が自動計算になっていますので、2019年の年間売上、2020年の対象月の月間売上、2019年の対象月の月間売上を記入すれば、勝手に計算されます。ただ、いくらもらえるのかを先に知りたいと思うのが人情ですので、例を挙げて計算してみます。

 

(例1)

2019年の年間売上500万円、2020年4月の月間売上15万円、2019年4月の月間売上35万円の場合

1か月の売上が57%減ですので支給対象です。給付金の金額を計算します。

500万円 - (15万円 × 12か月) = 500万円 - 180万円 = 320万円

上限の100万円を超えていますので、給付金額は100万円です。

 

(例2)

2019年の年間売上700万円、2020年5月の月間売上60万円、2019年5月の月間売上110万円の場合

1か月の売上が45%減ですので支給対象ではありません。残念ながら給付金はもらえません。

 

(例3)

2019年の年間売上750万円、2020年5月の月間売上60万円、2019年5月の月間売上130万円の場合

1か月の売上が53%減ですので支給対象です。給付金の金額を計算します。

750万円 - (60万円 × 12か月) = 750万円 - 720万円 = 30万円

上限の100万円以内ですので、給付金額は30万円です。

 

ここで注意して欲しいことがあります。給付金の額が2019年の年間売上を超える場合には、2019年の年間売り上げが上限になります。

 

(例4)

2019年の年間売上80万円、2020年4月の月間売上0円、2019年4月の月間売上12万円の場合

1か月の売上が100%減ですので支給対象です。給付金の金額を計算します。

80万円 - (0万円 × 12か月) = 80万円

上限の100万円以内ですので、給付金額は80万円です。月間売上の減少額の12か月分ではないことにご注意ください。

 

3 入力必須事項

入力必須事項は9つあります。入力前に先に資料を集めておくとスムーズです。

(1)屋号・雅号

(2)申請者の住所

(3)業種

(4)申請者の氏名

(5)申請者の生年月日

(6)連絡先

(7)2019年の事業収入額

(8)対象月、前年同月の月間事業収入額

(9)申請者本人名義の振込先口座の情報(金融機関名、支店名、支店番号、口座番号など)

 

4 事業収入の証明書類(添付書類)

青色申告をしている場合と白色申告をしている場合で添付書類が変わります。

(1)青色申告の場合

・2019年分の確定申告書 第一表(税務署の日付必須)

・2019年分の所得税青色申告決算書

・対象月の月間事業収入が分かるもの(売上台帳など)

(2)白色申告の場合

・2019年分の確定申告書 第一表(税務署の日付必須)

・対象月の月間事業収入が分かるもの(売上台帳など)

添付できるファイル形式は、PDF、JPG、PNGのみです。

 

 

Ⅲ 法人の場合

 

法人が持続化給付金を申請する場合について書きます。

 

1 前年同月比で月間売上高50%以下

月間売上高が前年同月と比べて50%以下になっていなければいけません。2020年1~12月の間で最も売り上げが落ちた月を選択することができます。50%以下であれば10%でも50%でも支給対象になります。

 

2 給付額は最大200万円

“最大”ですので、これよりも少ない方もいます。計算方法は個人事業主と同じです。

 

   2019年の年間事業収入 - 対象月の月間事業収入 × 12

 

インターネットで申請する場合は申請書が自動計算になっていますので、2019年の年間売上、2020年の対象月の月間売上、2019年の対象月の月間売上を記入すれば、勝手に計算されます。これも、個人事業主と同じですね。上限の金額だけが違います。

 

3 入力必須事項

入力必須事項は13個あります。入力前に先に資料を集めておくとスムーズです。

(1)法人番号

(2)法人名

(3)本店所在地

(4)業種

(5)設立年月日

(6)資本金の額、出資の総額

(7)常時使用する従業員数

(8)代表者、担当者の情報

(9)代表者、担当者の連絡先

(10)対象月の属する事業年度の“直前の”事業年度の事業収入額

(11)決算月

(12)対象月、前年同月の月間事業収入額

(13)法人名義または代表者名義の振込先口座の情報(金融機関名、支店名、支店番号、口座番号など)

 

4 事業収入の証明書類(添付書類)

(1)前事業年度の確定申告書 別表一(税務署の日付必須)

(2)前事業年度の法人事業概況説明書

(3)対象月の月間事業収入が分かるもの(売上台帳など)

添付できるファイル形式は、PDF、JPG、PNGのみです。

 

 個人事業主の場合も法人の場合も、確定申告書、預金通帳、対象月の売上台帳があれば申告ができます。月間売り上げが50%を減少している方は申請することをおすすめします。

 

 

二 確定申告をしていない場合の申請方法

 

持続化給付金の申請では、原則として確定申告書のコピーを提出することになっています。法人であれば皆さんが確定申告をされていると思います。ただ、個人事業主の場合には、利益が少なく確定申告が義務付けられていない方もいらっしゃいます。

確定申告書のコピーを提出できない場合には、代わりに提出できる書類があるのでしょうか。様々なケースで確定申告書に関係した書類を書きたいと思います。

 

Ⅰ 個人事業主の場合

 

原則としては、確定申告書類、売上台帳、通帳のコピー、本人確認書類が必要です。ただ、様々な状況の方がいらっしゃいますから、いくつかの特例があります。

 

1 確定申告書類を提出しなくてもよい特例

(1)確定申告の義務がない場合など

・売上台帳

・通帳のコピー

・本人確認書類

・2019年分の市町村民税・都道府県民税の申告書類の控え

確定申告の義務がない場合には、2019年の市民税の申告書類の控えで代替できます。

(2)確定申告が終わっていない場合

・売上台帳

・通帳のコピー

・本人確認書類

・2018年分の確定申告書類の控え または 2018年分の市民税の申告書類の控え

確定申告が終わっていない場合には、2018年の確定申告書類の控えか2018年の市民税の申告書類の控えで代替できます。

(3)住民税の申告期限が猶予されている場合

・売上台帳

・通帳のコピー

・本人確認書類

・2018年分の確定申告書類の控え または 2018年分の市民税の申告書類の控え

住民税の申告期限が猶予されていて確定申告が終わっていない場合には、2018年の確定申告書類の控えか2018年の市民税の申告書類の控えで代替できます。

 

2 確定申告書類を提出する場合の特例

(1)2019年中に開業した場合(新規開業特例)

・確定申告書類

・売上台帳

・通帳のコピー

・本人確認書類

・(あ)開業届、(い)事業開始等申告書、(う)開業日、所在地、代表者、業種、書類提出日の記載がある書類のうちどれか1点

(あ)や(い)の書類は、開業日が2019年12月31日以前で、提出日が2020年4月1日以前である必要があります。また、(う)の書類の場合、審査が厳しくなっているようです。

(2)月あたりの収入の変動が多い場合(季節性収入特例)

・確定申告書類

・通帳のコピー

・本人確認書類

・対象期間の売上台帳

(3)事業承継があった場合(事業承継特例)

・確定申告書類

・売上台帳

・通帳のコピー

・本人確認書類

・開業届

確定申告書類は、事業承継をした者と事業承継を受けた者の2人分の確定申告書類が必要です。また、開業日は2020年1月1日から2020年4月1日までの期間で、提出日が開業日から1か月以内でなければいけません。

(4)2018年、2019年の罹災証明書を受けた場合(罹災特例)

・確定申告書類

・売上台帳

・通帳のコピー

・本人確認書類

・罹災証明書

確定申告書類は罹災の前年分です。罹災証明書の発行年は2018年か2019年でなければいけません。

 

以上が個人事業主の場合の特例です。

青色申告の場合には、確定申告書第一表の控え、または所得税青色申告決算書の控えが必要です。白色申告の場合には確定申告書第一表の控えになります。

 

 

2 法人の場合

 

原則として、確定申告書類、売上台帳、通帳のコピーが必要です。法人でもいくつかの特例があります。

 

1 確定申告書類を提出しなくてもよい特例

(1)確定申告が未了の場合

・売上台帳

・通帳のコピー

・前々事業年度の確定申告書類 または 前事業年度の事業収入証明書類

(2)合併があった法人(合併特例)

・売上台帳

・通帳のコピー

・履歴事項全部証明書

・合併前法人の2019年の確定申告書類

(3)連結納税を行っている法人(連結納税特例)

・売上台帳

・通帳のコピー

・連結法人税の個別帰属額等の届出書

・法人事業概況説明書

(4)2018年、2019年の罹災証明書を受けた場合(罹災特例)

・売上台帳

・通帳のコピー

・罹災証明書に書かれた日付の前事業年度の確定申告書類

・罹災証明書

(5)法人化した場合(法人成り特例)

・売上台帳

・通帳のコピー

・履歴事項全部証明書

・個人事業主としての2019年の確定申告書類

・法人設立届出書 または 個人事業の廃業届

(6)特定非営利法人・公益法人等の特例

・売上台帳

・通帳のコピー

・直前の事業年度の年間収入が分かる書類

・履歴事項全部証明書 または 公的機関の認可証

 

2 確定申告書類を提出する場合の特例

(1)申請書と証拠書類の法人名が異なる場合

・確定申告書類

・売上台帳

・通帳のコピー

(2)2019年中に設立された法人

・確定申告書類

・売上台帳

・通帳のコピー

・履歴事項全部証明書

確定申告書類は、2019年中に事業年度がかわった場合には、2019年中のすべての月間事業収入が分かるよう、2事業年度分の提出が必要です。

(3)月あたりの収入の変動が大きい法人

・確定申告書類

・売上台帳

・通帳のコピー

確定申告書類は、該当機関のすべての期間分が必要です。2事業年度にわたっている場合には、2事業年度分の確定申告書類が必要です。

 

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