行政書士法人 麻田事務所

〇 相続人と親族って違うの?

 

 

近親の方がお亡くなりになられたとき、亡くなられた方の財産をあなたが相続するかもしれません。このとき、プラスの財産だけでなくマイナスの負債も相続されます。注意してくださいね。

 

“亡くなられた方”や“相続する方”という言い方は長いですので、亡くなられた方を“被相続人”、相続する方を“相続人”と呼ぶことにします。

 

 

1 最初に、親族の範囲を見てみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このようになっています。すべてを書くとややこしくなりますので、一部を抜き出しています。①や②は血族、(1)や(2)は姻族(いんぞく)と呼ばれています。血族はいわゆる血のつながりのある人(血のつながりのない養子も含みます)、姻族は配偶者の血族と血族の配偶者です。血族は赤の下線、姻族は青の下線です。〇の中の数字や( )の中の数字は親等の数です。

 

この図を見て“ん?本人や配偶者はどうなってるの?”と思われるでしょう。本人や配偶者は〇親等とは呼びません。本人を親族というのはおかしいですが、配偶者も本人と同じだと考えます。ただし配偶者は〇親等と数えませんが親族です。ややこしいですね。1親等になるのは親と子、2親等は祖父母や孫や兄弟姉妹です。

 

親族の範囲は6親等内の血族と配偶者と3親等内の姻族です(民法725条)。

 

 

2 親族の数え方はこうなります。

 

兄弟姉妹の親等を数えるときは一度共通の祖先まで戻ります(民法726条)。本人と兄弟姉妹の共通の祖先は親ですよね?ですから、まず親に戻って①、親の子だから②となって、2親等の血族です。もちろん親族です。

 

“父母の兄弟姉妹(伯父や叔母)”の場合は共通の祖先が祖父母ですから、まず親に戻って①、さらに祖父母に戻って②、祖父母の子だから③になって、3親等の血族です。つまり親族です。

 

“いとこ(伯父や叔母の子)”はどうでしょうか?共通の祖先は祖父母ですから、まず親に戻って①、さらに祖父母に戻って②、祖父母の子だから③、さらにその子だから④となって、4親等の血族です。こちらも親族です。

 

では、“配偶者の親の兄弟姉妹(配偶者の伯父や叔母)”はどうでしょうか?共通の祖先は配偶者の祖父母ですから、まず配偶者の親に戻って(1)、さらに配偶者の祖父母に戻って(2)、配偶者の祖父母の子ですから(3)となって、3親等の姻族です。やはり親族です。

 

このように考えると、配偶者のいとこは4親等の姻族になって親族ではありません。あくまで民法上の親族ではないという意味で、一般用語としての親族ですよ。

 

 

3 相続人の範囲を見てみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相続については、赤で囲まれた範囲の人が相続人になる可能性があります。ただし、いくつかの条件があります。それは次の“相続人は誰?”で説明しますね。

 

 

 

 

 

〇 相続人は誰?

 

 

 

亡くなった人の遺産を受け継ぐ人には、法律上定められた“法定相続人”と遺言で財産を受け継ぐ“受遺者”がいます。まずは法定相続人だけを考えますね。

 

(法定)相続人を考えるときは、順番も含めて考えます。まず、配偶者は常に相続人です。次に、子供です。配偶者と子供がいる場合には、配偶者と子供が相続人になります。配偶者と子供の両方がいない場合は、3番目に直系の祖先(尊属)です。親や祖父母、曾祖父母などのことですね。直系の祖先の中では親等が一番近い人だけが相続人になります。4番目が兄弟姉妹です。基本的にはこれで終わりです。

 

1 配偶者

 

2 子

 

3 直系の祖先(尊属)(1配偶者、2子がいない場合)

 

4 兄弟姉妹(1配偶者、2子、3直系の祖先がいない場合)

 

あれ?さっきの図だと他にも赤で囲まれた人がいるぞ!と思いますよね?

 

説明します。

 

孫・曾孫…と姪甥は代襲相続のときに相続します。代襲相続というのは、被相続人(図の本人)が亡くなったときに相続すべき人が1.先または同時に亡くなった場合、2.欠格事由に該当する場合、3.廃除された場合に生じます。

 

例えば、被相続人(本人)がなくなる前に“①子”がなくなっていた時には“②孫”が代襲相続します。“①子”の相続分をそのまま“②孫”が相続するのです。

 

被相続人の財産は“①子”→“②孫”→③曾孫→④玄孫(やしゃご)・・・と次々に直系の子孫に代襲相続されます。

 

ただし、兄弟姉妹の代襲相続は1回きりですし、本人の子(養子)ではない配偶者の子は代襲相続できません。配偶者の親や兄弟姉妹も代襲相続できません。

 

亡くなった場合は分かりやすいですが、欠格事由や廃除というのは何でしょうか?

 

 

1 欠格事由

 

相続人の欠格事由は民法891条に5つ書かれています。簡単に言い換えると次のようになります。

 

(1) 被相続人や先順位・同順位の相続人を殺したり、又は殺そうとして刑に処せられた者

 

(2) 被相続人が殺害されたことを知っていながら訴えなかった者(例外あり)

 

(3) 被相続人をだましたり脅したりして遺言の作成・取消・変更をさせなかった者

 

(4) 被相続人をだましたり脅したりして遺言をさせたり、遺言の取消・変更をさせた者

 

(5) 遺言書を偽造したり書き換えたり捨てたり隠したりした者

 

これらのどれかに該当すると欠格事由として相続人ではなくなってしまいます。

 

 

2 廃除

 

廃除は民法892条と893条に書かれています。

 

遺留分を持っている相続人が著しい非行をしたり、被相続人に対して虐待や重大な侮辱をしたりしたときは、被相続人は家庭裁判所に廃除を訴えることができます(民法892条)。

 

もう一つの方法は、遺言で排除する方法です。この場合は、遺言の執行者が家庭裁判所に廃除を訴えます(民法893条)。

 

相続放棄をしたときには代襲相続されないことに注意してください。

 

またここで一つ分からない言葉が出てきました。“遺留分”って何でしょうか?

 

 

 

 

〇 遺留分ってなに?

 

 

代襲相続ができる場合は3つありました。

 

1 被相続人が亡くなったときに相続すべき人が先か同時に亡くなった場合

 

2 被相続人が亡くなったときに相続すべき人が欠格事由に該当する場合

 

3 被相続人が亡くなったときに相続すべき人が廃除された場合

 

このうち3の廃除は、“遺留分”を持っている相続人が対象でした。

 

“遺留分”って何でしょうか?

 

“遺留分”は法定相続人が必ず相続できる財産の一定部分をいいます。“遺留分”を持っている人は“兄弟姉妹以外の相続人”です。つまり、配偶者・子・直系尊属です。前回の図をもう一度載せますね。

 

遺留分は誰が相続人なのかで割合が変わります。

 

1 直系尊属のみが相続人 → 遺産全体の1/3

 

2 その他        → 遺産全体の1/2

 

これらの場合にどれだけ相続できるのかを計算してみましょう。その前に、法定相続分を表にしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば、被相続人がすべての財産を愛人に遺贈する遺言を残したとします。被相続人には配偶者と長男と長女がいます。相続財産は2000万円でした。それぞれいくら相続できるでしょうか?

 

法定相続人は配偶者・長男・長女ですから、遺留分は1/2です。残りの1/2は愛人が持っていきます。

 

1 愛人  2000万円×1/2=1000万円

 

2 配偶者 2000万円×1/2(遺留分)×1/2(法定相続分)=500万円

 

3 長男  2000万円×1/2(遺留分)×1/4(法定相続分)=250万円

 

4 長女  2000万円×1/2(遺留分)×1/4(法定相続分)=250万円

 

このように分配されます。1000万円+500万円+250万円+250万円=2000万円となって、ちょうど分配されています。

 

 

 

 

〇 相続させない方法

 

 

法定相続人の中にはどうしても相続させたくない人がいることがあります。“あいつには何があっても相続させたくない!”と固い意志をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

 

法定相続人に相続をさせたくない場合、前回書きました“廃除”をすることができます。廃除をするには2つの方法があります。

 

1 被相続人が家庭裁判所に訴える方法

 

遺留分を持っている相続人が著しい非行をしたり、被相続人に対して虐待や重大な侮辱をしたりしたときに、家庭裁判所に訴えて廃除してもらうことができます。

 

2 遺言で廃除する方法

 

遺言でも廃除ができます。廃除ができる条件は非行や侮辱など同じです。このときは遺言執行者が家庭裁判所に廃除を訴えます。

 

廃除の対象になるのは“遺留分を持っている相続人”だけでした。では、遺留分を持っていない法定相続人、つまり兄弟姉妹に相続させたくない場合はどうしたらいいのでしょうか?

 

答えは簡単です。遺言ですべての財産を他の誰かに遺贈すればいいのです。遺言で兄弟姉妹の相続分をゼロと指定してもOKです。兄弟姉妹には遺留分がありませんから、他人に遺贈された場合や相続分をゼロと指定された場合には手も足も出せません。一件落着です。

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